【2/12】出逢いの少ない通信制の高校で、自傷症の転校生に恋した俺の一年間
9月6日(47日目)
この日は半年に一度あるかないかの体育。
うちの学校は運動場も体育館もなかったから体育をするときは近所の市民体育館を貸し切っていた。
その日体育で何をするかはランニングと体操をして初めて教えてもらえる。
担任「今日は4チームに分かれてドッジボールをします」
俺、絶望。
ドッジボールなんて運動できないやつのただの恥さらしじゃないか!
もうわかると思うが俺は極度の運動音痴だ。
周りを見ると嬉しそうな顔をしているやつもいれば俺みたいに不満げな顔をしているやつもいる。
というより嬉しそうな顔をしているのは一部の男子だけだった。
ため息をつくとハマーが俺の肩にポンと手を置いた。
ハマー「大丈夫、俺が守ってやるから」
俺「だまれ」
結局ハマーはDチームで俺は長井と同じAチームだった。
担任「第一試合、Aチーム対Bチーム。CチームとDチームは邪魔にならないところで観戦するんだぞー」
試合開始後あっという間に決着がついた。
Aチームのボロ負け。
俺は早々にボールに当たって目立たなかったから精神的ダメージは軽量で済んだ。
自分のことに必死で誰がどんな活躍をしたかは分からない。
担任「Bチームの勝ち!次、Cチーム対Dチーム!」
やった、休める!
俺にとって体育の休憩は砂漠の中のオアシスだ。
あのメール以来、長井とはしゃべっていなかったから
この際に一言だけ言おうと思って長井を探した。
長井は一人で突っ立ってCチーム対Dチームの試合を見ていた。
俺「長井、この前はごめんね」
長井「何が?」
俺「バイトのこと。せっかく紹介してくれたのに」
メールでも同じことを言ったが、もう一度ちゃんと謝っておきたかった。
長井「大丈夫。時給が上がらなかったのは残念だけど」
俺「ん?えっと、どういうことですか?」
長井「店長がね、誰か紹介したら時給を10円上げるって言ってたの」
俺「それが狙いかww」
長井「うんww」
ハマーはドッジボールで大活躍。
気付くと俺と長井は座っていて、いっしょにそれを見ていた。
長井「濱治君っていつも安藤君のそばにいるよね」
俺「あいつは女より男だから」
長井「やっぱりww」
俺「www・・・」
笑いの後に気まずい沈黙が生じた。
俺「そ、そういえばさ、長井は彼氏とかいるの?」
別に長井に彼氏がいようがいまいがどっちでもよかったが、沈黙を打破するために訊いた。
でもなんでこの質問にしたんだろ。
自分でも不思議だ。
俺が訊くと長井の顔色が険しくなった。
長井「いないよそんなの」
俺「そんなのってww・・・」
長井「私誰かと付き合うとか絶対に嫌だ。束縛されるの大嫌い」
俺「お、おう」
長井の勢いにちょっと引いた。
あきらかに今長井は不機嫌だ。
俺は訊いてはいけないことを訊いたのかと焦った。
俺「あっ、長井ってどこに住んでるの?バイト先から近いの?」
へたくそながらに話を変えると長井の表情は穏やかになった。
それを見て俺も一安心。
長井「○○だよ」
俺「おお、観光名所じゃん」
長井「いいところだよ」
ピーーー
その時試合終了の笛が鳴った。
先生「Dチームの勝ち!次、Aチーム対Cチーム!」
俺「げっ、もう休憩終わりかよ」
長井「がんばろ」
俺「せやな」
俺たちが立ち上がるとハマーがこっちに向かって走ってきた。
ハマー「安藤、俺の活躍しっかり見てたか?」
俺「死ね」
となりで長井が笑ってた。
ドッジ・・・ボール・・・高2・・・?
>>40
通信だからな
俺も聞いたとき耳を疑ったよww
9月18日(59日目)
終業式
うちの学校は二学期制だったから夏休みが遅いんだ。
夏休みって言っても二週間くらいしかないけど。
この時にはたまに長井と話すようになっていて、
始業式が終わって「じゃあね」って声を掛け合った覚えがある。
でもそれだけ。
まだ俺にとって長井は学校でたまに話す人って認識だった。
9月27日(68日目)
俺は家で暇を持て余していた。
夏休みだっていうのにやることがない。
漫画も読んだしゲームもやった。あっ、勉強は元々しないです。
誰かと遊ぼうにも中学時代の友達はみんな学校。
高校の友達で唯一家が近いハマーはばあちゃんちに行っている。
短期バイトをやろうと思ったが時期的に高校生ができるのが一つもない。
まさに究極の暇だ。
両親は共働きで一人っ子の俺は、夏休みに入って一人でいる時間が多かった。
このままずっと一人だとダメ人間になる!
誰かと関わらねば!
たった二週間の夏休みでこんなことを本気で思った俺はちょっとやばかったと思う。
しば
らく悩んだあげく、ある結論にたどり着いた。
そうだ、誰かにメールしよう。
誰にメールを送ろうか。
中学時代の友達は授業中だったら悪い。
ハマーは・・・いいや。
それ以外の学校の友達ともしょっちゅうメールしてるし・・・。
せっかくだからあんまりメールしたことない人にしよう。
なんてことを考えながら俺は携帯のアドレス帳を眺めてた。
しかし消去法でいくと一人しか残らなかった。
長井だ。
俺友達少なすぎ・・・。
長井になんて送ろうか。
次はその事で迷った。
そしてふとあることに気付いた。
俺、長井の電話番号を知らない。
ということでどうせ電話なんかしないと思いつつ
電話番号を教えてもらうために長井にメールをした。
俺『電話番号教えて』
長井『どうして急に?』
俺『携帯のアドレス帳見てたらさ、そこに登録されてる中で電話番号知らないの長井だけだったんだ。
それがなんか気持ち悪くて』
実際これは事実だった。
長井『そうなんだ
私は親しい人にしか電話番号教えないけど、いいよ
○○○-○○○○-○○○○(電話番号)
安藤君のも教えて』
俺『ありがと
俺の番号は○○○-○○○○-○○○○
登録よろしく』
長井『うん』
そこでメールのやりとりは終了。
結局俺はまた暇になっちゃって、何度もクリアしたマリオサンシャインをまた最初から始めた。
9月28日(69日目)
夜、マリオサンシャインをしていると長井から電話が掛かってきた。
まさか掛かってくるとは思わなかったから、出るとき緊張した。
俺「もしもし」
長井「男友達がしつこい。いや、もう友達じゃないか」
長井は早口でこう言った。
俺「え、ちょ、まず落ち着け。さっぱりわからん」
長井「ごめんちょっと聞いて。その人私にひどいこと言ったの、それなのに心が変わったのかしつこく謝ってくる」
なんでそんなことを俺に言うのか全く分からなかったが無視するわけにはいかない。
俺「許す気はないの?謝ってるんだし」
長井「絶対に許さない」
一日たったら前日の怒りなんて忘れる俺にはこの絶対にというのが理解できなかった。
そんなにひどいことを言われたのだろうか。
俺「なんて言われたの?」
長井「それは言えない」
俺「そっか、じゃあこれからその人とはどうするの?」
長井「・・・関わらない」
これを聞いたとき俺は悲しくなった。
長井にひどいことを言った人に同情したのかは分からないが、人と縁を切れるということがすごく悲しかった。
続きはよ
>>53
すまん、書き溜めたものを編集しながらだからちょいちょい遅くなる
長井「でもその人に私の大好きなゲームを貸してるの。返してもらいたいけど会いたくない」
俺「縁を切るならちゃんと返してもらわなくちゃ」
長井「だよね・・・やっぱり返してもらう」
俺「それがいい」
長井「話聞いてくれてありがと。またね」
俺「はい、じゃあね」
結局なんだったんだ・・・。
その日少しだけ長井のことを考えて寝た。
10月1日(72日目)
始業式
長井とは一言あいさつを交わしただけで、男友達について触れることはなかった。
長井の顔を芸能人に例えると?
>>58
ココリコの遠藤と千秋の娘って言われてる写真が一枚だけすごい似てた。
ほかの写真はまったく似てなかったけど。
10月6日(77日目)
家でぼーっとテレビを見ていると、長井が住んでいるところが映った。
そこは観光地でよくテレビに映るが、長井と知り合って見るのは初めてだったからちょっと興味が湧いた。
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1416405803/
- 関連記事
-
- 【6/12】出逢いの少ない通信制の高校で、自傷症の転校生に恋した俺の一年間
- 【5/12】出逢いの少ない通信制の高校で、自傷症の転校生に恋した俺の一年間
- 【4/12】出逢いの少ない通信制の高校で、自傷症の転校生に恋した俺の一年間
- 【3/12】出逢いの少ない通信制の高校で、自傷症の転校生に恋した俺の一年間
- 【2/12】出逢いの少ない通信制の高校で、自傷症の転校生に恋した俺の一年間
- 【1/12】出逢いの少ない通信制の高校で、自傷症の転校生に恋した俺の一年間
- 義姉が「親から援助ずるい、うちはもらってないのに! ひとりっ子で実家財産ひとりじめ?なのに義実家の遺産半分って、どんだけ欲張り!?放棄しろ!介護は全部引き受けろ!」って義両親の前で言うもんだから…
- 【12/12】ワイはまだ2年は仕事に打ち込みたい。リビングに母子手帳置いた彼女にすまん堕ろしてくれって頼んだら…まさかの展開や
- 【11/12】ワイはまだ2年は仕事に打ち込みたい。リビングに母子手帳置いた彼女にすまん堕ろしてくれって頼んだら…まさかの展開や
この記事へのコメント
コメントする