【7/12】出逢いの少ない通信制の高校で、自傷症の転校生に恋した俺の一年間

140: 2014/11/20(木)11:31:14 ID:jCMhcynqF

時間ができたから少し書いてく

141: 2014/11/20(木)11:32:22 ID:jCMhcynqF

12月21日(153日目)

明日から冬休み。

長井とあさっての23日に長井の家で遊ぶ約束をして学校から家に帰った。

142: 2014/11/20(木)11:33:38 ID:jCMhcynqF

12月22日(154日目)

長井「今日も手首切った」

この日も電話でそう言われた。

俺「・・・長井、自分を大切に思ってくれている人に申し訳ないと思わないのか?家族とか」

家族だけじゃなく俺も入っているけどな。

いつもの長井なら俺の説得に対してはぐらかすような答えをしていたけど今回は違った。

143: 2014/11/20(木)11:36:11 ID:jCMhcynqF

長井「はあ、また説教?」

俺「えっ、違う、俺はただ・・・」

長井「そういうのもういいから」

ほんとこの時は悲しかったね。
長井のためと思ってやってきたことが全部無駄だったんだから。
いや、むしろ長井はそれをうっとおしく感じてたんだから。

やっと理解したよ。
長井は自傷行為を悪いことと思っていなかったことが。
そして相手の気持ちを考えずに都合がいいことばっかり言ってきた自分のあほらしさに。

144: 2014/11/20(木)11:36:51 ID:jCMhcynqF

俺「・・・わかった。もうお前のリスカをやめさせようとしないよ・・・」

長井「そうして」

俺は自分の心に何か違和感を覚えたが、気にしないことにした。

145: 2014/11/20(木)11:39:56 ID:jCMhcynqF

12月23日(155日目)

長井と遊ぶのは二人のスケジュール上年内最後だった。
いつものようにゲームなどをして遊んで神社に行こうとしたとき長井が言った。

長井「昨日、安藤君私のリスカをとめないって言ったよね」

俺「・・・うん」

なるべく昨夜のことは話題に出してほしくなかった。

長井「じゃあ私今からリスカするけど、とめないでね」

長井はテーブルの上にあったペン立ての中からカッターを取り出し、左手首を切り始めた。

俺「・・・」

目の前で一番大切な人が自分自身を傷つけているというのに何もできない自分が歯がゆくて、悔しかった。

そして俺は涙を流していた。
自分でもびっくりするくらいに自然に。

長井よりもいち早くそれに気付き、後ろを向いて涙をふいた。
泣いているところなんて恥ずかしくて絶対見られたくない。

146: 2014/11/20(木)11:42:46 ID:jCMhcynqF

長井はリスカを終えると次にこう言った。

長井「私首絞められるのが好きなの。殺さないように絞めて」

俺「・・・ああ、いいよ」

昨夜俺は眠れずにずっと考えていた。
長井のために何ができるか。

しかし一つしか思いつかなかった。

それは長井を喜ばせること。
そのためならなんだってしよう。
俺は少しでも楽しそうに長井の首を絞めた。

心の中にあった違和感は確実に大きなっていたがやはり無視した。
この違和感は今の長井との関係を壊すかもしれないってわかっていたから。

147: 2014/11/20(木)11:45:03 ID:jCMhcynqF

12月24日(156日目)

街に集まり、クラスの男連中だけでボーリングやゲーセンに行った。

ハマー主催の彼女がいないやつだらけの慰め会みたいなやつだ。

朝から夜まで最高に盛り上がった。
解散前に打ち合わせをして、次遊ぶ時はカラオケに行くことになった。
みんなと別れたあと、俺は長井のクリスマスプレゼントを買うため本屋へ行った。
最初はアクセサリーか何かにしようと思ったけど、
長井が「本を大切にしている」って言っていたのを思い出してブックカバーとしおりにした。

148: 2014/11/20(木)11:48:48 ID:jCMhcynqF

きれいにラッピングされたプレゼントを持って夜の街を歩いた。

長井は喜んでくれるだろうか。

次、長井と会うのは年が明けてからだ。
俺は待ち遠しくて仕方がなかった。

と、その時雪が降ってきた。
夜の都会で見る雪は初めてだったからあまりの美しさに感動した。
長井と仲良くなっていろいろなことに心が動くようになった。
そう考えると今までの俺の人生はしょうもないもののように感じる。

この時どっかの電光掲示板から
ブリトニー・スピアーズの『My Only Wish This Year』が流れていた。
今でもこの曲は大好きだ。

149: 2014/11/20(木)11:49:22 ID:jCMhcynqF

このプレゼントはドラファングッズのようにサプライズで長井に渡そう。
そう決めて長井が驚いた顔を思い浮かべた。

まあ、結局このプレゼントを渡す日は来ないんだけどね。

150: 2014/11/20(木)11:55:21 ID:aBzurA7Pt

ohh....

151: 2014/11/20(木)12:23:21 ID:jCMhcynqF

12月27日(159日目)

俺は短期のバイトで工場の中でおせちなどのお正月商品を箱に詰めていた。

短期だから30日までのたった4日間の仕事だ。
俺はこうやって長い連休は短期バイトをしてお金を稼いでいた。
長期のバイトは面倒くさくてなかなか踏み出せなかった。
でももし長井に紹介されたバイト先が家から近かったら絶対始めていたと思う。

このバイトで、俺はなおちゃんという一つ年下の女の子と仲良くなった。
周りがおじさんやおばさんしかいなかったから、若い者同士自然にくっついた。

152: 2014/11/20(木)12:26:22 ID:jCMhcynqF

なおちゃんは長井と真逆のような人間で、明るくてスポーティーな感じの子だった。
俺たちは初めて会ったとは思えないくらいすぐに打ち解け、休憩中なんかもずっとしゃべっていた。

いろいろな短期バイトをしたが、こうして誰かと仲良くなるのは初めてだった。
これも長井のおかげだろう。

彼女がいる時の方がいない時よりもモテるみたいな感じ。
この時の俺は尋常じゃないほどのコミュ力だった。

長井は彼女じゃないけど。

153: 2014/11/20(木)12:28:37 ID:jCMhcynqF

なおちゃん「安藤さんも自転車通勤だったよね」

仕事が終わり作業服を脱いでいる時だった。

俺「うん」

なおちゃん「じゃあこのあと一緒にご飯食べに行こ」

俺「えっと、ちょっと待って」

長井のことが頭に浮かんだ。
そういえば長井とどこかに遊びに行ったことがない。
常にどちらかの家だ。
ここで行くと長井に対する裏切りのような感じがする。

しかしすぐに冷静になった。
馬が合う友達とご飯を食べに行く。
その友達がたまたま女の子ってだけじゃないか?
実際俺はなおちゃんに対して恋愛感情を持っていないし、今日会ったばかりだから向こうもそうだろうと。

俺「よし、行くか」
俺たちは近所のファミレスに行った。

154: 2014/11/20(木)12:29:50 ID:jCMhcynqF

12月28日(160日目)

この日もなおちゃんとバイト終わりにご飯を食べに行った。
たしかどっかのハンバーガー店。
モスだったかな。

俺たちはさらに仲良くなった。

155: 2014/11/20(木)12:35:56 ID:jCMhcynqF

12月29日(161日目)

なおちゃんとカラオケに行った。
みんなが言うには俺は音痴らしいんだ。
自分の中ではプロみたいに歌えてるんだけど相当外してるらしい。

だからなおちゃんにも笑われた。
そういうなおちゃんもすっげえ音痴で、笑ってやったら叩かれた。

157: 2014/11/20(木)12:37:39 ID:jCMhcynqF

12月30日(162日目)

バイト最終日

「今日はどこに行く?」となおちゃんに訊くと、「ラーメン食べに行きたい」と言われた。
そこで俺が一番好きなラーメン屋へ連れて行った。
長井にもこうして自分のおすすめの店に連れていきたいななんて考えながら。

158: 2014/11/20(木)12:39:56 ID:jCMhcynqF

ラーメンは相変わらずおいしかった。

店を出るとあたりは真っ暗。
なおちゃんとご飯を食べた後はいつもこんな感じだ。

自転車に乗り発進しようとしたところでなおちゃんが言った。

なおちゃん「安藤さん、私と付き合って」

俺「・・・マジ?」

なおちゃん「うん」

不意打ちだった。

160: 2014/11/20(木)12:42:06 ID:jCMhcynqF

なおちゃんが言うには、俺を初めて見た時から気になっていたらしい。
そこで話してみて気が合ったからそこで好きになったんだと。

誰からでも告白されるとやっぱり嬉しいものだ。
俺はテンションが上がった。

でも答えは決まっている。

俺「ごめん」

なおちゃん「・・・だよね・・・たった四日間遊んだだけだし・・・」

俺「また遊ぼうよ。俺なおちゃんと遊ぶの好きだから」

なおちゃん「・・・うん!」

その後なおちゃんとメアドを交換して別れた。

161: 2014/11/20(木)12:43:23 ID:jCMhcynqF

一人で帰路に着いている中、俺はずっと考えていた。
長井と付き合えば、もっと近くで支えてあげられるんじゃないかと。
そして家に着くなりさっそく長井に電話した。
なおちゃんの告白に感化されちゃったんだよな。
昔の俺はアホみたいに単純で恥ずかしくなる。

162: 2014/11/20(木)12:46:06 ID:jCMhcynqF

長井「・・・ごめん。付き合えない」

だよね。

告白した直後に思い出した。
長井は誰とも付き合いたくはなかったんだ。
だから全然悲しくなかった。

長井「安藤君のことは嫌いじゃないよ」

俺「いやいいって、俺の方こそ急にごめん。なんか焦ってたww」

すっげえ勇気出したからむしろスッキリした。

163: 2014/11/20(木)12:48:24 ID:jCMhcynqF

12月31日(163日目)

午後8時ごろ、一緒に近所の神社に初詣へ行くためにハマーがうちに来た。

俺「お前、早すぎるだろ。約束の時間は11時だぞ」

ハマー「家にいても暇なんだよ」

俺「まあいいや。ゲームでもして時間つぶそうぜ」

ハマー「スマブラスマブラ」

俺「よし」

今思えばこのころの俺たちはスマブラにハマりすぎてた。

164: 2014/11/20(木)12:50:08 ID:jCMhcynqF

ハマー「お前スマブラ弱すぎ」

俺「マルスばっか使うな」

ハマー「それはそうと、長井とは進んだか?」

俺「えっ!?・・・いや特には・・・」

長井に告白をしたことも、なおちゃんの存在も黙っておいた。

ハマー「リアルラブも雑魚だな」

俺「意味わかんねえよww」

たぶんハマーは現実の恋愛って言いたかったのだと思う。

165: 2014/11/20(木)12:53:09 ID:jCMhcynqF

ハマー「おっと忘れてた!クラトゥのCD貸してくれ」

俺「ああ、そうだった」

クラトゥというのは俺が長井と出会ったころくらいから聴きはじめて大好きになったカナダのバンドだ。もう解散してるけど。
俺はずっとハマーにクラトゥを薦めてて、この日CDをとりあえず一枚貸すことになっていた。

俺「俺たちは音楽の趣味が合うからな。聴いたら絶対好きになるぜ」

俺は机の上のCD置き場でクラトゥのCDを探した。

俺「あれっ、ない」

ハマー「机の中だろ。お前何でもこの中に入れる癖あるし」

そう言ってハマーは立ち上がり、机の引き出しを開けた。

俺「そこはダメ!」

ハマー「ほらあった。ん?なんだこれ・・・」

ハマーは血が入ったビンを取り出した。



転校生に恋をした一年間
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